宇宙に遊ぶスピリットは通常のフォームでは有機体の肉体を持たないことが多い。意識体の形でそれぞれの進化過程が近しいもの同士でコミュニティ−をけいせいし、影響し合い、学び合いながら穏やかにゆっくりと進化することを好む。

宇宙に遊ぶスピリットは通常のフォームでは有機体の肉体を持たないことが多い。意識体の形でそれぞれの進化程度が近しい者同士でコミュニティーを形成し、影響しあい、学びあいながら穏やかにゆっくりと進化することを好む。

 

意識体の本質はバイブレーションである。スピリットはそれぞれ固有の周波数と波長を持っている。美しく規則的な流線形の波形を持つスピリットは同じような波形を持つスピリットと親和性があり、互いに近づくと共鳴しあって次第に周波数と波長がシンクロする。そうやってスピリットは自分以外のスピリットと共鳴し合うことで無限の周波数と波形を経験し、進化する。

 

スピリットの波形は必ずしも流線形ではなく、ジグザグとした粗い形状をとることも多い。波形が荒いと、波長も一定せず長短不規則に並ぶ。こうしたスピリットもやはり似たもの同士が引き合うので、彼らは自然と同族でコミュニティーを形成する。彼らにとって、規則的な流線形の波動は異質物であり不快なのだ。ただ、波動が粗い者同士はシンクロするよりは摩擦し合う傾向が高くなるので、進化の過程は遅く停滞期は長くなる。どのようなコミュニティーに属したとしても、意識体のコミュニティーでは、かけ離れた特性を持つ者同士が関わり合う機会はないに等しい。

 

さて、ここに地球という風変わりな惑星がある。銀河系第九セクション太陽系支部所属。地球は第九セクション内で唯一、有機生物が存在し得る環境設定がされている極めて特殊な惑星だ。物質世界である地球で暮らすために、意識体は有機体である肉体を纏う必要がある。厳密に言えば、意識体のままでも地球に降り立つことはできるが、物質世界と直接かかわることは出来ない。従って、意識体の形で地球に滞在する場合は傍観者、観察者の立場をとることになる。

 

肉体を持つと言うことは、地球というテーマパークで遊ぶためのアトラクションライドに乗るようなものだ。スピリットは、地球に転生するために意識体の固有のバイブレーションを非常に低く鈍重に抑え、高密度に圧縮することで自らを物質化し肉体を持つ。その結果波動が持つ影響力も低くなるので、異なる波動を持つもの同士が隣り合って生活できるようになる。肉体を持つことで、進化程度も意識段階のかけ離れた者同士が出会うと、当然衝突は激しくなるが、愛の表現の幅も広くなる。

しかしながら、スピリットが意識世界で発揮できる本来の能力を極限まで制限された世界が物質世界である。意識体にとって肉体は戦国時代の甲冑にように重く、本来の能力を極限する。物質世界特有の時間という制限も課せられる。スピリットは永遠不滅の存在であるから、死という概念がない。そこで肉体の重さに嫌気がさしたスピリットが簡単に肉体を脱ぎ捨ててしまわないように、肉体のDNAには寿命が設定された上で至上最優先に自動的に働く「何が何でも生き残れ」という指令が組み込まれた。

 

そして忘却プログラムというもう一つのなくてはならないシステムも設定される。肉体を纏うとスピリットは己を忘れ、肉体と同化し肉体そのものが自分だと思い込む。忘却プログラムのおかげでスピリットは人間として有限の存在として有限の能力を駆使しつつ一期一会の人生を味わい尽くすことができるのだ。人間としての一生は、目隠しをされ、両手両足を縛りあげられたまま沈没船から脱出を試みるかのチャレンジだが、スピリットにとっては想像するだけで武者震いが出るほど魅惑的な冒険でもある。

 

地球には更生施設としての役割もあるので、意識体コミュニティーで反社会行動、犯罪に手を染めたスピリットが更生のために送り込まれて来る場合もある。また、意識体コミュニティー間で起きる争い事から逃れるために、隠れ場所として地球を選ぶスピリットもいる。地球上に人間として存在していれば波動も低く抑えられるのでトラッキングされにくいからである。地球は隠れ場所としても用途が高い。

 

とにかく地球ほど多種多様な存在が混在できる惑星は、他に類を見ない。貴重なのである。そこでの経験はスピリットの成長進化を飛躍的に促進するので、その過酷さにもかかわらず、成長意欲に富んだスピリットは進んで物質世界への転生願いを出す。冒険好きのスピリットにとっては垂涎もののテーマパークだ。従って入場許可が出る倍率は天文学的に高い。地球の人口が増加の一途を辿っている現状は地球の人気を物語るものだが、地球は入るのも出るのも狭き門なのだ。

 

地球に入場した時に下げた波動は、退場する時には意識体として存在し得る高さまで上げなければならない。しかも地球の重力から自由になるためには入場した時より退場する時の方がはるかに高い波動を必要とする。飛躍発展を遂げる気満々で意気揚々と地球に挑戦したものの、そこでの生活の過酷さに取り込まれてしまい、恨みや復讐心、ねたみなど、鈍重な波動の影響下に捕らわれてしまうスピリットが後を絶たないという現実もある。彼らは何度も肉体を乗り換えつつ、重い波動から解き放たれるまで地球にとどまることになる。

 

ただし、波動の高低は決してスピリットの優劣を示す指標ではないし、価値基準でもない。軽々と地球を卒業したスピリットより、長く地球に留まっているスピリットの方が邪悪ということでもない。スピリットが深い人間の闇に沈み込めば沈み込むほど、深みから浮かび上がった時に手にする学びは巨大になる。その手助けをしたスピリット達にも学びを与える。そして波動は共鳴することを思い出して欲しい。個々のスピリットの学びは全体の学びとなり共有される。天使のような慈愛を表現することによって貢献するも良し。悪魔的な業を積むも良し。全ては個々のスピリットの自由選択に基づいたプロセスを通した壮大な遊びであり、全体として見れば荘厳な交響曲を奏でているのである。スピリットは一つの取りこぼしもなく大いなる全体に属するものであり、流動的に役替わりを繰り返しながら、個としても全体としても可能性を探求して成長しているのだ。